「そっか…もう少し寝てる?」

「ううん、戻る」

「分かった。じゃあ行こう」

教室に戻りピアノの事を謝ったら、怒ることなく笑ってくれた。

怒るじゃなくて、褒めてくれた。

出来て当然だって人に教えられてたから、凄く嬉しかった。

嬉しかったけど、ピアノには触りたくない。

ピアノは、私の過去の蓋を開ける道具だから。

ピアノの音は、聴きたくない…

出来ることなら、楽譜すらも見たくない。