〈音STORY〉

昨日、用事があるって律くんに言ったけど、あれは嘘だ。

具合悪そうなママを見るのが、すごく辛かった。

だけど、時間が無いかもしれない。

今行かなかったら後悔するかもしれない。

そんな気持ちがあって、私は病院に向かった。

「音!」

「遅れてごめんね」

「ううん。ママ嬉しい。さっきまで律くん居たのよ」

来てくれたんだ…

「ねえ音」

「ん?」

「座って」

頷いて椅子に座る。