〈律STORY〉

「律?どうした?」

食べた物を飲み込むと、父さんはそう聞いてきた。

「てか、そろそろ敦も寝なさいよ。疲れ取れないわよ」

「えやだ」

「やだって敦…」

「音…1度も声上げて泣いてない…」

「「えっ…」」

泣いてはいたけど、声を上げて泣いてない。

おかしい…

「確かに、私も思った。涙脆い音ちゃんが、ここに来てからあまり泣いてない…」

「律、誌乃、甘えてくれるのを待つんだ。音ちゃんもいつかは甘えてくれるから」

「父さん…」

「分かったわ…」

俺も頷いた。

次の日、笑顔の音が起きていたーー