〈音STORY〉

あれからママは退院し、夏休みも終わり、2学期が始まった。

「暇だ…」

「急だな」

今日は私の家に律くんが来ている。

「だってさ〜…この前まではコンクールに向けて練習してたけど、コンクール来年までないからさ〜」

「まぁな…んじゃ、ピアノの練習しとく?」

「うん〜」

ピアノの練習ばっかしてたから、何をすればいいのか分からなくなった…

「じゃあ14ページの曲にしようか」

「は〜い…そういえば律くん」

「ん?」

「どうやったら、『月光』を明るく弾けるの?」

そう聞くと、律くんは目を見開いた。

そして、目線を逸らした。