「こちらでお待ちください」

看護師さんがそう言い、ドアが閉まった。

「ママっ…死んじゃやだっ…ママっ…」

拭っても拭っても溢れてくる涙。

不安と恐怖で、パニックになっていた。

「音…」

そんな私を、律くんは抱きしめてくれた。

ずっと、ドアが開くまで。

暫く経つと、中から先生が出てきた。

「色々処置をしましたので、暫くは目を覚まさないかと思います。どうぞ」

病室に入ると、点滴をしているママの姿が。

気づかなかったけど、少し痩せている気がした。

「母はどうして…?」

「えっと…貧血です。今日1日、様子を見てから退院の判断をします」

「そうですか…」

貧血…

悪い病気じゃなくて良かった…

〈音STORY END〉