「ーー…っ!!!」

凄いっ…

弾き始めた途端、会場の空気が変わった。

それに、曲が胸に響く……

あの人の音は、こんなに凄かったんだっ…

無理だっ…

私には無理だっ…

あの人の音を超えるなんてっ…

無理っ…

「音」

「…っ、な、なに?律くん…」

「音は、ピアノの音、どう思う?」

「えっと…弾き方によって、曲によって、色んな感情になる…喜怒哀楽を表せる音だと思う…」

「うん。だから、音はそのまま弾けばいいんだよ」

「…!」