「音の傍にいるなら私もーー」

「詩は帰れ。お兄ちゃんに任せろ」

「……分かった」

詩を帰らせ、音の部屋にお邪魔した。

琴音さんに俺が知っている事を全て話した。

「あいつが…!?くっ…また音を苦しめたっ…許さないっ」

「琴音さん」

「ん…?」

「音には才能があります。練習を続けたら、川上健二と競う事も夢じゃありません。川上健二は、馬鹿にしてましたが、約束をしました」

「約束?」

「はい。もし競う事になり、音が勝ったら、一生近づかない事を」

「…!」

“勝ったら”

確率はとても低い気がする。

川上健二は、プロ中のプロだから。