〈音STORY〉

「そんな事があったんだ…」

「うん。俺は一生、おばあ様を許さない。謝られたとしても、許さない」

私も、許さないと思うな。

だって、大好きなお母さんをいじめるんだもん。

「…!詩!?」

「え?」

律くんの目線を追うと、泥まみれの詩ちゃんが帰ってきたところだった。

「どうしたんだよこれ!?」

「別に。転んだだけ」

「転んだ!?どうして!」

「律くん落ち着いて!詩ちゃん、お風呂入って綺麗にしないと!」

慌ててる律くんを宥めて、私はそう言った。

「……」

やっぱり、時々詩ちゃんの顔に寂しさや悲しさの表情が出てる。