私には、いつもと同じ優しい笑顔で言った。

そんなママを、涙目になっているお姉ちゃんが見ていた。

「や、やっぱりママについてくっ」

「な、何言ってんだ奏っ」

「私はあなたのママではありません」

「ーーっ!」

お姉ちゃんの泣き声が響いた。

それでも、ママの表情は変わらずお面みたいだった。

「行きましょうか?」

「うん!」

「お、おい音!音は、パパの事好きだよな?パパと一緒にいたいよな?」

今更、私は真っ先にそう思った。

「好きじゃない。一緒にいたくない。私のパパじゃない」

「音……」

ママと笑い合って、手を繋いで家を出たんだ。