彼女がなぜ嘲笑うような笑顔を向けているのか、私にも見当はついている。

「品川成美です。」

彼女は首を少し傾けて微笑んでそう言うと

また、私にじろじろと視線を投げ掛け、嘲笑するような笑顔を向けた。

そんな彼女に、私も乾いたような笑顔を向けた。

“田中さんと、不釣り合い”

そう言いたいのだろう。

そんな綺麗な言葉じゃないのかもしれない。

本当はもっと…

「年も年だし、見た目も…はぁ、顔も?どこにあるの、良いところ。」

一人言を装うように、彼女は小さな声で言った。

だけど、しっかり聞こえるように。

…え?

確かに、彼女は若くて…とても可愛い。

「あの…」

「はぁ。」

言いかけた私にため息が返され

「必死過ぎて痛い。焦る女って嫌だわ。」

遂に私に向けられて悪態が放たれた。

「どういう、事か…」

「簡単に言いますね。“引っ込めブス”って事です。」

……え…

何て?

到底人様に向ける言葉とは思えず理解に時間がかかった。

言い返さない私に

「頭も悪いんだ、酷いね。」

理解してないの?とでも言いたい

呆れるようにそう言った。