品川さんに、言われたからではない。

ただ…見失っただけだ。

誘うべきか否か。

会いたいから、誘っていた。

それが、出来なくなった。

誘い方すら。

会いたくて仕方がないのに。

_無意味に、雅実の座っていた飲食店のその席で無機質なヤツを起こした。

【何やねん、お前。辛気臭い顔して。】

「顔が見えるのか?」

【分析や、アホか。目ないねん。】

「そうか、そうだな。」

【逆戻りやんけ、何やねん。漸くマッチングしたんやろ、何でこの飲食店で偶然会える事を待ってんねん。誘えや。】

「…嫌だったかもしれない。」

【はぁ、まぁ、嫌がってたな。最初は。】

「今は!?」

【あのなぁ、聞けよ、本人に。真っ直ぐな気持ちは、何よりも届く。計算したいなら、俺がしたるわ、ボケ。】

「俺は…雅実に会いたい。」

【じゃあ、そう言え、俺じゃなくて雅実に。】