田中さんの質問の意味が0には分かったらしく

【いいや、俺から言わなくてもええ。嘘はついても分かるから…好きにしたらええ。まぁ、自由恋愛にした場合、比重なんて無視されるしな。でも、0()を使ってる限りは…成婚条件は呑んでもらう。】

それを聞いて、田中さんは私の方へ身体ごと向ける。

私の目を…真っ直ぐに見ると

「雅実から、言って欲しい。」

そう言った。

「0が分かったとしても。雅実の口から言って欲しい。僕を…好きになれば。自分の耳で、ちゃんと聞きたいんだ。」

0を通した、このマッチングで

0に頼らずに、自らの提案で今日はここに連れて来てくれた。

それが、何だか嬉しかった。

同じように、0を頼らず、自分の耳で聞きたいと言った彼に

「私も、そうしたい。」

自分の口でそう伝えたい。

私も、そう思った。

私の言葉に田中さんが、嬉しそうに笑った。

その笑顔に、胸が熱くなる。

もれなく、顔も。

「期間は特に設けられてないみたいだし。」

確かに前回、0がそう言ってた。

田中さんとしては、ゆっくりでいいと…いうことだろうか。