翌日、待ち合わせの10分前には到着した。

いつもの様に、先に彼が待っていた。

ヤバい。

彼が私に気づく少し前に、踵を返した。

ちょっと待て。

ガッツリのスポーツウェアにキャップ。

ドリンクボトルを手に、木にもたれて…

ちょ、ちょ、ちょ、

ギャップ、ギャップ、ギャップ!!

あのピッタリしたウェアから分かる…

ちょうど良いくらいに鍛え上げられたラインがヤバい。

いや、こんなところで息を整えなければ行けない私はもっと…ヤバ…

「雅実?」

ひょこっと顔を出す胸板…じゃなくて彼に

目のやり場に困る。

相当困る。

【進展、あるといいですね。】

このタイミングでゼロが言いやがった。

「ああ、あずかりましょうか、それ。」

彼はゼロの言葉はスルーで、自分の0と私のゼロを何時もの様に合わせる。

あれ?自由恋愛?

いいのか?

「違いが、分からないので…んー…どうします?0」

「…もう、いいです。何でも。」

そう言った。

「では。しかし、今日は…」

そう言うと合体0をバックパックの緩衝材内臓部に入れた。

【すまんのー、衝撃には弱いねん。繊細やー。その代わり、デカイ声で喋るから、何でもゆーてー。】

そのまま

「行きましょうか。」

「あ、はい。」

どこへ?と、思ったけれど…

彼の胸板に気を取られ、目の前の物に気づかなかった。

相当大きな…

タンデムロードバイク。