「汗かいてるなら、シャワー浴びる?」

涼しい顔でそうおっしゃる彼に一人で慌てふためく。



「大丈夫、涼しかったし」



「そっか、じゃあ…少し早いけど焼き始めようか。雅実、着替えは?」



「あ、ここに」



「換気システムは充実してるけど、匂いはつくと思うから、あちらの部屋に置いておいて」



「…え?匂い…?」



「うん、夕食、たこ焼きにしようかと思って。嫌いじゃない?」



「…好きです」

これは“たこ焼きが”だ。



匂い?だから、着替え?



“あちらの部屋”にて、暫し固まった。



…お泊まりじゃないじゃない?

…どうすんの、ぱんつまで持ってきて。

うわ、恥ずっ



「どうしたの?顔赤いけど、暑い?」



心配そうにそう言った彼に



「いえいえ、ははは」

笑いが乾く。



目の前には立派な鉄板、



「え、本気のやつ!」



「そう、母が関西の人間でね。絶対ガス火って言うもので…こんな大層な事に」

そうは言いながら器用にくるくるとひっくり返していく。



「関西の方!?だから0ちゃんも関西訛りなの?」



【いや、俺は血縁関係ない】



「それはそうだろう」



【何なら、関西行ったことない】



「っえー!」



【実雅連れてってくれへんねんもん】



「お前は本体無くても自由自在だろう?」



【本体行きたいやん、色々見てまわりたいやん】



「目は無いだろう」



「じゃあ、今度一緒に行こう。わたしも1回しか行ったことない」



「……楽しみだね」



…あ、そっか。

0と行くって、田中さんと行くってことか…



0ちゃんと二人で行ってどうする。