待ち合わせ場所では、田中さんが私の乗るロードバイクを調整してくれていた。



彼のは自前だろうか。



「…今日は」

「今日は。早速だけど、ちょっと跨がってみてくれる?」



ゼロを田中さんに渡して

言われた通りにしてみる。



「もう少し低い方がいいか、思ったより…」



短足です。



【ブーブー】



はぁ、久しぶりの警告音。



「あ、…コンパクトで…」田中さんが目を泳がせてそう言った。



【ブーブー】



「いいよ、0ちゃん、もう」



【すまんね、雅実】



「会えて、嬉しい」

田中さんが私を見て微笑んだ。



格好いいんだろうなとは思ってた。



だけど、毎回思う。

会うと1000倍は格好いいんだよね。



これも香川さんの言う会ってみないとの部分…

いや、もう、何回も会ってるか。



「じゃ、行こうか」



田中さんが漕ぎ出すのに続いた。



私に合わせてゆっくりと走ってくれる。



……正面から来る風が…心地良い。



いい季節だなぁ。



前回もいい季節だったけど。



「疲れるといけないから、早めに言ってね」



「はい」



手と足を動かして



ついでに心臓も、忙しない。



やっぱり、後ろから見てしまうのだけれど。