いつの間にだろう。



“顔だけ”なんて思っていたのに。

私がそんな失礼な事を思っていても



“NO”を出さずにいてくれた。

それが優しい事だって気づいた。



欠点の塊みたいに思っていた彼の性格だって



嘘のない素直な人だと気づけた。

計算の出来ない不器用な、人だって。





いつも私を分かろうとしてくれていた。



“顔だけ”

なら

香川さんでも良いわけだ。

香川さんの気持ちはさておき…だけど。





全然違う。



楽しくて、食事も美味しくて



だけど全然違う。





それが、田中さんを好きだということだ。







【いかがでしたか?】

ゼロの問いかけに



「田中さんが好き」



【どうぞ、それを実雅に】



「そうする」



その時、コール音が響いた。