【比べてみー、雅実と】



比べる?

雅実と?



「なぜだ?」

【何か違いがあるか?】

「違いしかない。そもそも別の人間だ」

【そうやねんけどな、お前の心理面で】

「…それこそ、違うところしかない」



そもそも、品川さんに興味など微塵もない。



姿を見て、気持ちが昂るのも、触れたいのも

…雅実だけだ。





【それを、雅実にも気づいて貰おうって魂胆や】

「俺と、その彼との違い…を?いや、でもその彼も容姿に恵まれているのなら…」



こんな俺は比べられることによって…

不利ではないか?



【品川さんの容姿は一般的には恵まれてる】



…また品川さんの話か。



【雅実より】



……



「はぁ?何だ、熱でも…エラーか?」

思わず、熱を持ってないか、SS0に触れた。

【雅実の事を“好き”なお前はそんなこと気づかない。だとしたら雅実も“少なからず”お前の方が良く見えるかもしれへんで?】



「…とてもじゃないが…」

泣かせて、怒らせてばかりの俺が…

その男性より良く見える事などあるのだろうか。





【どのみち、雅実が実雅の事を“好き”やと言うまでは、成婚出来へんからな。結婚してからも続ける為には、それなりの選択肢が必要や】



「お前は、俺が成婚すれば相手は誰でもいいのだろう?」



【そうやな。…だけど雅実じゃないとお前は成婚せーへん】



何年も、ただ待っていた。

雅実の条件に引っ掛かってマッチングすることを。



一度でも雅実の目に映ることが出来た日から



一度でも雅実が俺の手に触れたなら

どうしてこうも、待てなくなるのだろうか。



待つだけの時間はとても辛いものだった。