3回目のデート

「今日は提案があります。」

「ええ、何でしょうか。」

0(それ)止めときません?」

私がそう言うと、彼は明らかに目を泳がせた。

【そういうのは、いじめ問題に繋がると思う。】

「いいですよね?」

【あかーん!寂しいやんけぇ。】

「あんた達、2つくっついてるでしょ?さみしくない。止めてても、話せないだけで、聞けるでしょ?」

言うや否や、パシッとタップした。

「さて、二人っきりですね。今日は色々とお話を…二人で。」

そう言ってにっこりと笑った。

彼が少し、困ったように目を逸らしたのを見て

ザマーみろと、思った。

「私から、いいですか?」

「ええ。」

「誰でもいいって何?

服着てたらいいって何?

面倒臭いって何?

早々に済ませたいって何?

私と話す事なんて、ないんでしょうけ ど。酷くないですか?」

「矢次に質問されるのは、あまり利口だとは言えませんね。」

「だから、条件、“私より頭の良い人”って言ってあるの。今回、それか組み込まれたかは知りませんけど。」

「組み込まれているでしょうね。」

つまり、自分よりはバカだと言いたいのか。

「おいくつですか?」

「まだ、先程の質問にお答えしてませんが。もう次の質問ですか?」

いちいち、カッチーン。だな。

「人には各々、得て不得手があります。あなたの場合、それが著しく出たのがきっと、コミュニケーションだったんですね。」

私がそう言うと

黙った。

結局、1つも質問に答える事もなく黙った。

「よく、分かりました。」

もう、いい。

私が立ち上がると彼が漸く口を開いた。

「待って、頂けませんか?もう少し。」

「嫌だ。面倒臭いもん。」

今度は、彼がカチンとした顔。

「中田さん、あなた…500人以上リサーチしてますよね?でも、誰もいなかった。マッチングする人は。…つまり、僕の顔は500人に1人の逸材だと言っても過言ではない。あなたに取って。」

そう言うと、ギリギリまで最大の武器である顔を近づける。

「そういう解釈で…構いませんか?」

そう言うと

今度は、彼が笑った。にっこりと。

この日も“N0”は出さなかった。お互い。