【感情的になるのは、良くない】

……そうだけど。そうなんだけど。

ぐいっとワインを煽る。

田中さんも、黙ってワインを口に運んだ。

お互いそのまま…ただワインだけを飲む時間が続く。

【ワインなら、左手でも飲めるな。手繋いでくれる?】

「「はい?」」

【手や!】

「「はい…。」」

0に言われるまま、田中さんが私の手を取り、私も軽く指を開き、それに彼が指を絡めた。

2.3度打ち合わされた長い睫毛が止まり

少し下がった眉とへの字の口

ゆっくりと口角があげられると、目元を緩ませた。

「…いいもんだね」

手から伝わる熱は、優しく私の手へと。

それだけでもなく…

彼の気持ちが手から…

【手を繋ぐとか、ふれあいながら喧嘩は出来へんもんや。気持ちが和らぐからな。じゃあ、そろそろ、雅実の話を聞こうか】

田中さんが、私が話し出すのを待って、

手に少しだけ力を込めた。