田中さんはついに、私から視線を逸らせてそっぽを向いてしまった。

「…私と偶然出会った時、品川さんと一緒でしたよね?」

「ああ、そうだね」

そうだね!?

「彼女に自分の背中、持たせてましたよね」

「ああ、そうだね」

…まだそっぽを向いたまま…

「私がいたから、店を変えようって二人で出て行って…」

…ヤバい

苛立ちが涙を連れてくる。

「今日だって…何で…彼女を連れて来るのか…ふ…」

途中で出てきた涙が、喉を詰まらせ、情けなく声を出せなくした。

親切にAI完備のここでは、タイミング良くティッシュを渡してくれる。

私の方へ向き直った田中さんが

「ごめんなさい」

そう言って、私の頬に触れる。

「だけど…なぜ、泣くのか分からない。」

「…さっさと…“NO”出せばいいでしょ?なぜ、私に言わせるの?」

私の頬に触れていた手が止まり、綺麗な目が見開かれた。

次第に寄せられていく眉…

限界まで寄ると

「はぁ!?」

なぜか田中さんがお怒りになった。

【はいはいはいはいはーい!ここで、休憩挟みまーす】

0の声掛けで、私たちはハーフタイムに入った。