「迷惑、被ってるんです。あなた、実雅さんとマッチング中でしょ?その顔で。ご存知の通り、自由恋愛中はマッチング出来ません。だけど…マッチングが先なら?自由恋愛は…可能。というか、そうなっちゃったら仕方ないというか…」

顔、関係ある?

と、言いたいとこだけど…

マッチング条件に“イケメン”を入れてる私には何も言い返せず。

…ん?

自由恋愛…

そう…なっちゃったら…?

「そういう事です。私達、毎日会ってるんです、今。それって…そういう事でしょ!?ただ…実雅さん…優しい人だから…」

そう言ってチラリと私の方を見た。

「そんな…でも…彼からは何も…」

「彼から、言わせたいんですか?」

そう言って彼女はまた嘲るように笑った。

「…えっと…」

「お気持ち、分かります。焦りますよね、その年で恋人もいないなんて。可哀想だわ。実雅さんは“誰でもいい”って思ってらっしゃった。とにかく…沢山女性が寄って来るのが、面倒で結婚したかったみたい。だけど…そうじゃなくなった。…出会ったから。あなただって、結婚出来たら“誰でもいい”でしょ?ただ、需要がないだけで。」

彼女のマシンガントークがマシンガンの様に突き刺さる。

“誰でもいい”

「とにかく、“誰でもいい”から、あなたとマッチングされたんでしょ?それは、そうなんだと…今日お会いして…ふふ…分かりました。じゃあ、早めにお願いしますね、こちらの自由恋愛は続けますから…」

そう言って笑って立ち上がった。

「分不相応 」

最後に、吐き捨てるようにそう言った。