ロマンスの王子様

リビングへと案内すると、お父さんをソファーに座らせた。

「長旅ご苦労様でした」

私がそう言ったら、
「いや、そんなにたいしたことじゃないから」

お父さんは笑いながら言い返した。

「それと…」

お父さんはそう言うと、紙袋を私に差し出してきた。

「つまらないもので申し訳ないんだけど…」

「どうも、ありがとうございます」

私は紙袋を受け取ると、お父さんにお礼を言った。

「それでは、お茶とお菓子の方を用意してきます」

その場から離れようとしたら、
「明穂、それをどこかに置いてくるから」

奥原さんが紙袋を自分に預けるように言ったので、私は彼に渡した。

「じゃあ、私は…」

私はキッチンへと足を向かわせたのだった。