「もう、さっきのヤツはお迎えがくるとかどうとかじゃなかったの!?

そんなことならちゃんと言ってくれればよかったのに!」

「いや、違っ…」

何だか変な展開になってきたぞ、おい。

「あら、私ったら2人の邪魔をしてるわ!

それじゃあ、ここでお暇させてもらうわね」

「えっ、ちょっと、ワッコさん!?」

呼び止めようとする私に気づいていないと言うように、ワッコさんはウフフと笑いながら私たちの前から立ち去った。

「ワッコさん!

ワッコさーん!」

戻ってきてと思いながら何度も手招きをするけれど、ワッコさんはニコニコと笑いながら手を振ったのだった。

「ワッコさんの鬼…」

見えなくなった彼女の姿にそう呟くと、私は振り返って奥原さんをにらみつけた。