ロマンスの王子様

当たり前だけど、生身の人間のものだ。

ゲームやアニメ、ましてやマンガじゃない。

人間そのものの手だ。

クイッと、その手に上を向けられた。

「あっ…」

奥原さんと目があった。

ああ、これで本当に逃げられなくなってしまった…。

「もう1度聞く」

奥原さんが言った。

「は、はい…」

私を見つめる彼の瞳に逆らうことができなくて、返事をしてしまった。

「お前は、俺のことが嫌いか?」

奥原さんが聞いてきた。

その質問に、私は答えることができなかった。

奥原さんが私のことが嫌いじゃないのはわかった。

同時に、それは私の勘違いであったこともわかった。

だけど…奥原さんのその質問に、すぐに答えることができなかった。