うわーっ、隣に座ってきたよ…。

ここは地獄ですか?

この世に地獄があるとするならば、ここが地獄なんだと思った。

「僕、こうしてじっくりと誰かと一緒に食事をしたかったんですよね」

奥原さんが言った。

「明穂ちゃんとは一緒に食事をしていないんですか?」

芳樹さんが聞いてきた。

いや、夜はともかくとして朝は一緒にご飯を食べてますけど。

それも残さずに全部食べてくれています。

「朝は時々ですけど、一緒に食べることがあります。

何しろ、仕事が忙しいもので一緒の時間がなかなか取れなくて…」

奥原さんは苦笑いをした。

仕事が忙しいのはもちろんのことですけど、お互いがお互いを避けまくっているからと言うこともあります。

心の中でツッコミを入れていたら、
「僕、子供の頃から誰かと一緒に食事をしたことがないんですよ」

奥原さんが言った。