「ああ、全然ですよ」

私はイヤイヤと言うように、右手を横に動かした。

「と言うか、それ以前に奥原さんに嫌われてますから」

私がそう言ったら、
「えっ、嫌われてる?」

芳樹さんは驚い聞き返してきた。

「いじめられてるって訳じゃないですよ。

むしろ、ほったらかしにされてます。

私のことなんか完全に興味ないって感じなんで、特に何にも言われてないです。

嫌いなヤツに向かって何か言う暇があるなら、その時間をもっと有意義に使うって言う感じですかね。

まあ、そう言う訳なんで心配しないでください」

私は彼の質問に答えた。

「…何とかなっているってことかい?」

「ええ、何とかなっていますよ。

と言うか、“何とかなります”って言ったじゃないですか」

私は笑いながら言った。