ロマンスの王子様

「俺のことを“奥原さん”と呼ぶのは、もうこれで最後にして欲しい。

せっかく夫婦になるんだし、いつまでも“奥原さん”と呼ぶのはおかしいだろう?」

「じゃあ、何て呼べばいいんですか?」

私の質問に、
「名前で呼んで欲しい」

奥原さんは答えた。

名前を知らないと言う訳ではない。

だけど、少しだけ驚いた。

私は深呼吸をすると、名前を呼ぶために唇を開いた。

「――賢志郎さん…」

名前を呼んだ私に、
「よくできました」

そう言った奥原さんの端正な顔が近づいてきた。

――キスされる…!

そう感じて目を閉じたら、唇に温かい感触が触れた。

初めて交わした彼とのキスは温かくて…そして、甘かった。

いつまでもしていたいと、思ってしまった。