ロマンスの王子様

「明穂」

奥原さんが私の名前を呼んだ。

「はい」

私が返事をしたのを確認すると、奥原さんは自分の手を私の手と重ねた。

「君が好きだ」

「――ッ…」

「だから、君の気持ちを受け入れる」

重なっているその手を私は握った。

「本当にいいんですか?」

そう聞いた私に、
「君がいいと思ってる」

奥原さんは答えた。

「今さらですよ?

ずいぶん前に結婚したのに、これから夫婦になるんですよ?」

「早いも遅いも関係ないと思ってる。

大事なのは、これから先だ」

「…私、奥原さんにずいぶんとひどいことをしましたよ?」

「もう気にしていない。

だけど、1つだけ気になっていることがある」

奥原さんはそう言うと、人差し指を出した。