山野くんは、振り向いてくれない。

「一一一大丈夫?」

同じ制服を着た男の子が声を掛けてくれた。

「はい…っ! 大丈夫で…っ痛!」

「ひざ怪我してるよ。…はい。これ、絆創膏とハンカチ。使って。」

「でもっ…!」

「いいから。1人で手当出来る?」

「はい…。」
(なんて優しい人…!)

「じゃ、俺行くね。」