学校祭、二日目の土曜日──。

休日ということもあって、学校内はこれ以上ないっていうくらいの盛り上がりを見せている。

一日目だった昨日は演劇やらバンドやら、校内の生徒向けにたくさんの催し物があったけれど。

今日は外からやってくるお客さんがメインで、保護者はもちろん、他校生や小中学生、小さい子どもの姿なんかも多くて、ちょっとしたお祭り騒ぎになっている。

あたしたちのクラスの縁日は大繁盛で、たくさんの人で賑わっていた。

「縁日だよー、寄ってってくださーい! 三年三組でーす!」

「スーパーボールすくいに、輪投げ! スコアによっては素敵な景品をゲットできまーす!」

プラカードを持ち、廊下や至るところで宣伝をする伊藤くんとあたし。あたしはくじ引きで伊藤くんとペアになったので、校内を二人で回っている最中だ。

クラス全員で揃えたお揃いの甚平には、背中に『三年三組 叶夢』とクラスと自分の下の名前が刺繍されている。これもみんなでお揃いの刺繍だ。

みんなでそれを着て、交代で接客や宣伝にあたっている。

クラス一丸となってなにかをやるのは楽しいから好きだし、もっともっと、多くの人にきてもらえるようにがんばらないと!

「え、縁日でーす、三年三組でーす。よろしくねー!」

校内はごちゃごちゃしていて、プラカードを持って歩くにはちょっと大変。伊藤くんは人に埋もれて、お疲れモードだ。

「伊藤くん、大丈夫? 中庭のほうに移動しよっか」

「うん、そうしてくれると助かる」

渡り廊下を抜けて非常階段から下に降りる。斎藤くんは今頃、クラスで店番をしているはずだ。

斎藤くんの甚平姿、カッコよかったなぁ。

派手な男の子って、甚平がよく似合うっていうか。

お祭り系男子の斎藤くんに、一番よく似合ってた気がする。