月曜日、学校へ行くと教室にはすでに斎藤くんがいた。
「おはよ」
「お、おはよう! あの、これ。どうもありがとう」
結局土日は斎藤くんにメッセージを送ることができなくて、お礼を言うのが今日になってしまった。
クリーニングに出してきれいになったジャージを斎藤くんへ返す。お礼のクッキーも添えて、斎藤くんの机に置いた。
「ごめんね、甘い物が好きかわからなかったんだけど、お母さんが勝手にクッキーを買ってきちゃって……」
小瓶に詰まっているのは、小さなハート型のチョコチップクッキー。
海外の有名ブランドのクッキーで、かわいい形と丸型のカラフルな小瓶が女子に大人気のデザインだ。
「いいの? これ結構高価なクッキーだろ」
「いいよ、全然! それよりジャージありがとう」
「や、ジャージはいいけどさ。こんなんもらって、逆に悪いことしたな」
「ううん、嫌いじゃないかな?」
「いや、すっげー好きだよ」
白い歯を見せて笑う斎藤くんに、ドキッとした。
すっげー好きだよって、べつにあたしのことを言ったわけじゃないんだから。