実際その状況にならないと、わからないような気がする。
「でも元彼のことも大事だったし、別れるなんて考えられなかった。だけど、告白相手も超強引にグイグイ迫ってきたんだ。そりゃあもう、すっごくドキドキしちゃうくらいにね! だからかな、なんだか気になってきちゃって……元彼と一緒にいても、どこかでその人のことを考えるようになったの」
真央ちゃんはツラそうに顔をしかめた。
「どっちつかずの態度を取ってたら、ある日、元彼が『別れよう』って……きっとあたしの気持ちが揺れてることに気づいて……」
どんどん沈んでいく真央ちゃんの声。
「優しい人だったから、あたしを気遣ってくれたんだと思う。『今度こそ幸せになれ。応援してる』って、笑って背中まで押されちゃった……あたしを想って身を引いてくれたんだよね……」
「…………」
「いつも穏やかな人で、揺れてるあたしに怒りもしなかったし、挙句には『俺が幸せにしてやれなくてごめん』って。あたし、そう言われてなにも言い返せなかった。ああ、この人はもう別れる気なんだなって思ってね」
「あたし、きっと、そこで元彼に応援されたかったわけじゃなかったんだよね。『おまえが好きだから、俺だけ見てろ』って、力強い言葉や強引さがほしかったんだと思う……向こうに行くなって言われたかったんだ」
その気持ちはなんとなくわかるかもしれない。
やっぱり女の子は愛されたい願望が強いし。