「ま、真央ちゃんは?」

「あたしー? あたしは、いないよ」

「え、そんなにかわいいのに?」

「そんなこと言ってくれるのは叶夢ちゃんくらいだよー! あたし、か弱く見えて思ったことズバズバ言っちゃうから、男子から敬遠されてるんだよね」

あはは、と軽く笑い飛ばす真央ちゃん。たしかに思ったことをズバズバ言うけど、表情がコロコロ変わってかわいらしいし、女の子らしいと思うんだけどな。

仕草もソツがなくて上品だし、足を組んでる姿もきれい。ふとした時の表情とか仕草には、女子のあたしでもドキッとしちゃうレベル。

「影で人気があると思うよ、真央ちゃんは」

「えー、そうかなぁ? えへへ」

外見もそうだけど、中身までかわいい真央ちゃんに憧れる。

「叶夢ちゃんの彼氏ってどんな人なの?」

「か、彼氏じゃないよ」

「じゃあ、好きな人? いいじゃん、聞かせてよー。恋バナしよ、恋バナ!」

は、恥ずかしい。

「強くて優しい人、かな。バスケがうまくて、カッコいいんだ」

「ほう、それでそれで」

あたしの話をニヤニヤしながら聞いている真央ちゃんに、なんとも形容しがたい気持ちがこみ上げる。

でも聞いてくれる人がいるって、いいな。相手を知らない人に話すからこそ、余計に。

「なんていうのかな、外見じゃなくて、中身が好きなんだよね。強くて優しいんだ」

「へぇ」