「明るい場所で見ても、やっぱり美人は美人だねっ!」
駅前のファミレスで向かい合って座るあたしたち。料理を注文し終えると、真央ちゃんが唐突にそんなことを言った。
「なに言ってんの、真央ちゃんだって」
「あたし? あたしは童顔に見られがちなんだよね。丸っこい顔と、このタレ目がコンプレックスなの」
真央ちゃんは手で目尻を持ち上げて上に引っ張り、キツネのような目になっている。あたしはそれを見て笑ってしまった。
「あ、笑った顔も超かわいい!」
「もう、からかわないでー!」
「うふふ」
真央ちゃんは人懐っこくて、あたしたちはすぐに仲良くなった。こんなに気が合うなんて、咲彩以来だ。
それからの会話は好きな芸能人やアイドルのことだったり、スキンケア用品やコスメはどこのものを使っているかだったり、学校のことも。
「ズバリ、叶夢ちゃんは彼氏いる?」
お腹が満たされたあと、ドリンクバーだけで粘るあたしたち。平日ということもあって、席ははまばらに埋まっている程度。
あれから一時間近く経過していた。
「えっ?」
近くに人がいるわけでもないのに、あたしはキョロキョロと辺りを見回す。もし知ってる人に聞かれていたら、恥ずかしくてたまらない。
「あはは、いるんだ? 赤くなってるー!」
「い、いない……いないから!」
恥ずかしくて思わず否定してしまった。



