「う、うん! わかった」
「サンキュー!」
柔らかく笑う斎藤くんの顔が好き。
一見クールだけど、誰に対しても愛想がよくて基本的には穏やかで、でも本気で怒ると恐くて。バスケが大好きな斎藤くん。
斎藤くんを好きになったのは一年生の時だった。クラスメイトの財布がなくなった時、体育の授業を見学していたのがあたしだけだったことで、疑いの目を向けられた。
誰もがあたしを疑いの眼差しで見つめる中、それをかばってくれたのが斎藤くんだった。
単純だけどかばってくれたことがうれしくて、一瞬で恋に落ちてしまったんだ。
三年間同じクラスで、ずっと斎藤くんを見てきたけど……。文字通り、見ているだけ。
あー、あたしがもっと明るい性格だったら……友達ぐらいにはなれていたかもしれないのに。
だけど、今日はたくさん話せてよかった。
日直が一緒だったことに感謝だよ。
そんなことを考えながら授業を受けていたら、一日なんてあっという間に終わってしまう。
斎藤くんと日直だったけど、役割分担をして仕事をこなしていると接点なんてほとんどないも同然。
気づくと放課後で、教室にはあたし以外には誰もいなくなっていた。
「はぁ」
いつも騒がしい教室に一人って、なんだかさみしいものがある。
斎藤くんは部活に行っちゃったよね……?
チラリと隣の席を見る。
すでにカバンはなく、もぬけの殻状態。



