「叶夢ちゃんがいてくれたから、逃げようって気になったんだよ。それにね……助けてほしいっていう顔をしてたでしょ？ あたし」
真央ちゃんはえへへと後頭部に手を当てながら言う。
「見ず知らずの女の子に思わず助けを求めてたんだよ。スルーされてもおかしくないのに、叶夢ちゃんは助けてくれた。だから、ありがとう」
「あ、頭を上げてよ」
本当に大したことはなにもしてないんだから。
「あたしの精いっぱいの誠意だよ」
「もう十分伝わったからさ」
「あ、ほんと？ ならよかった！ それにしても、ほんとに怖かったー。叶夢ちゃんは命の恩人だよ」
真央ちゃんはそう言って優しく微笑んだ。
「大げさだよ」
「そんなことないって！ あのままだと、連れ去られてたよ、絶対に」
「かなりしつこかったもんね。真央ちゃんが無事でよかったよ」
「うう、叶夢ちゃんっていい子！」
着飾らずに接してくれる真央ちゃんは、サバサバしていてすごく話しやすい。
なんだか、仲良くなれそうな気がするな。
