もっと俺を、好きになれ。


同じクラスになって三週間、クラスメイトの顔ぶれにはだいぶ慣れたものの、こうして声をかけられることにはまだ戸惑ってしまう。

それなのに伊藤くんはフレンドリーで、いつもあたしにこんなふうに挨拶してくれるんだ。全体的にゆるくて優しい雰囲気。

穏やかで癒し系の爽やか男子って、きっと伊藤くんみたいな人のことを言うんだ。

「青野さん、今日日直なんだね」

「え? あ、そういえば!」

さっき斎藤くんに声をかけられたばっかりなのに、すっかり忘れてた!

日誌取りに行かなきゃ!

「あたし、ちょっと職員室に行ってくるっ!」

「うん! 行ってらっしゃい」

笑顔の伊藤くんに見送られながら、立ち上がって教室を出ようとする。

すると、教室の後ろでたむろしている斎藤くんと目が合った。クラスでも四人組の目立つ男子たちと一緒だ。みんなイケメンでオーラがあるから、つい萎縮してしまう。

「日誌なら、俺が取ってきたよ!」

「え……?」

「俺の机の上に乗っかってる」

声をかけられたことにビックリしながらも、恐る恐る斎藤くんの机の上に視線を向ける。

そこには斎藤くんのスクールバッグと日誌が置いてあった。

「そういうことはもっと早く言えよー!」

その場にいたバスケ部の宮間(みやま)くんが、冗談っぽく斎藤くんの背中を叩いた。

斎藤くんはクラスでもこの宮間くん、通称宮マンと一番仲がいい。

「ごめんね、青野さん」

「あ、ううん……! ありがとう、助かる」

隣の席なのに全然見えてなかった。

「俺、字汚いから青野さんに書いてもらえると助かるんだけど」