「俺、いっつもバカなことばっかやってっから……家でもしょっちゅう怒られるんだ。本当にごめん」
「大丈夫だから、ほんと気にしないで」
「いや、ダメだよ。気にするよ」
宮間くんは思った以上に気にしてくれているらしい。
「とりあえず、これ。俺のジャージ着てくれていいから」
宮間くんはロッカーから自分のジャージを取り出すと、あたしに渡してきた。柔軟剤のいいにおいがする清潔なジャージ。
「だ、大丈夫だよ」
ジャージにペンキがついちゃったら大変だから、受け取るわけにはいかない。
「遠慮しないで、ほら」
宮間くんは強引にあたしの手にジャージを持たせると、今度はあたしの腕をつかんだ。
男の子らしい大きな手に、あたしの身体はピクッと跳ねる。
「え、あのっ……!」
「洗い流さないと固まるだろ?」
たしかに、そうだけど。
で、でも……一人で行けるよ?



