もっと俺を、好きになれ。


ただ並んで廊下を歩く。隣にいるのが叶ちゃんだということだけで、なんだよこれは。

ちょっと意識してしまう。

俺より頭一個分身長が低くて、耳から首にかけてのラインがくっきり見える。

さっきも思ったけど、すげー大人っぽい。

さっきからポニーテールが揺れるたびに、髪の毛からフルーティーなシャンプーの匂いがして、妙に意識させられる。

昨日までこんなことなかったのに、どうしたんだよ、こんなの俺らしくないだろ。

バスケ以外のことに心が動かされるなんて、俺らしくない。

「斎藤くん?」

「え? あ、なに?」

やべ、聞いてなかった。

「なにかあったの?」

「え?」

「なんだか、笑顔がぎこちないっていうか、無理して笑ってる感じがする」

なんで、どうして。

いつも通り笑っているはずなのに。

今まで誰にも見破られたことなんてなかったのに。

「あたしじゃ頼りないかもしれないけど、なにかあるなら言ってね?」

叶ちゃんはすっげー純粋で、まっすぐで、一途で、人を疑うことを知らないとてもいい子。

裏表がなくて、駆け引きなんかできるような子じゃない。

今まで付き合ってきたどんな女ともちがっていて、そのまっすぐさに俺は……。

ほだされてしまいそうになる。