「ねぇ、小次郎」
「なんだよ?」
「お父さんのなにが気に入らないの?」
「…………」
「ねぇってば」
「だってあいつ……俺らより女を選びやがって。どうせ相手の女だって、四十過ぎたおっさんなんか本気で相手にしてないだろ」
「まだそんなこと言ってるの? 春子さんはそんな人じゃないよ?」
小町は呆れ顔で俺を見た。
意地を張ってる俺のほうが悪いという表情。
姉ちゃんは、なんで許せるんだよ。
どうしてオヤジの恋人の味方をするんだよ。
どうせ、女なんてすぐに裏切るに決まってる。
「俺らより、あの女がいいんだよ、あいつは」
「そういう言いかたはやめなさい。お父さんだって、小次郎に反対されてすごく落ちこんでるんだよ?」
「あー、うっざ。小町はガミガミうっせーんだよ」
「ねぇ、あんたはお父さんの幸せを考えてあげられないの?」
「…………」
うるさい、マジで。
「そろそろ認めてあげない? あれから三年も経つんだよ?」
ああ、マジ雑音がうざい。
聞きたくない、なんも。
「小次郎ちゃんは、いつまで経っても思春期真っ只中ですかー?」
「うっせー、子ども扱いするんじゃねー!」
「だったら、ちゃんと考えてあげて。あんたはいつも逃げてばっかりで、ズルいのよ」
「んだよ、それ」
そうさせてるのはオヤジだろ。
逃げてばっかりって……そりゃ逃げたくもなるだろ。
あー、なんか全部が面倒だな。
煩わしいことなんて、考えたくねーよ。



