慌ててご飯を胃に流しこむと、姉ちゃんが出る時間に合わせて一緒に家を出た。
かなり早く学校に着くことになるけど、あの空間に父親と二人きりでいるなんて、俺には耐えられない。
六月中旬、ようやく梅雨入りしたらしくジメジメとした空気が肌にまとわりつく。
曇っているからなのか、気分はどんより沈んでいた。
「長い思春期だね。お父さんも寂しがってるよ」
「はぁ? なにがだよ」
リクルートスーツに身を包んだ姉ちゃんは、昨日の姿とは打って変わって真面目な雰囲気を漂わせる。
社会人一年目のお堅い銀行員。それがどうやったら昨日みたいな姿になるのか謎でしかない。
「いい加減、話してあげたら? いつまでもそんな態度でいないでさ」
「小町には関係ないだろ」
「小町じゃなくて、お姉さまでしょ」
「うっせー、バーカ」
「なっ、生意気だなっ。小次郎はいつまで経っても子どもだね」
「小町だけには言われたくねーわ。男に合わせて見た目変えるってどうなんだよ。どうせまた、振られて終わるに決まってる」
「い、いいじゃん。振り向いてほしくて、必死なんだよ。それにまだ、付き合ってませーん。残念でしたー!」
ベーッと舌を出す姿に、張り合おうとしていた気持ちが一気に失せる。
マジでガキだ、こいつ。



