もっと俺を、好きになれ。


咲彩が言ってたことは、ほんとだったんだ……。

改めて斎藤くんの口から聞いて、うれしいと思ってしまうあたし。

「なんで別れたんだよ?」

「おまえには関係ないだろ」

「どうせおまえの浮気がバレたとかだろー?」

「はぁ? なんだよ、浮気って。してねーわ」

「またまたー、モテまくりのおまえがしてないとか言っても、説得力ねーし!」

聞きたくない、そんなこと。でも気になるから、あたしは自分の席からただじっと耳を傾ける。

ただ斎藤くんのことが知りたくて、こんなのストーカーみたいだけど……でもでも、気になるんだもん。

傷つくってわかってるのに、斎藤くんのことはなんでも知りたいと思ってしまう。

「コジローのことだから、どうせまたすぐに新しい彼女ができるんだろうな」

「いいよなぁ、モテ男はよー」

「ちくしょー、なんでコジローばっかり! 世の中にはこんなにたくさん男がいるってのに!」

「はは、モテないからって、ひがむなよ」

「うっせー!」

斎藤くんはなんでもないように笑っている。

本気で好きじゃなかったのかな……。

たいてい三日以内には次の彼女ができるし、気持ちの切り替えがすごく早い。

斎藤くんはいつもにこやかに笑ってるから、わかりにくいんだよね、いろいろと。

「おはよう、青野さん」

ぼんやりしていると、後ろの席に眼鏡をかけた黒髪男子のクラスメイトがやってきた。

サラサラの髪の毛は思わず指を絡めたくなるほど綺麗にまっすぐ伸びていて、ニコニコ笑う顔には愛嬌がたっぷり。

「お、おはよ、伊藤(いとう)くん」