もっと俺を、好きになれ。


寂しくなんてないはずなのに、家の中に一人でいると、自分一人だけがこの世界に取り残されているような気になってくる。

気分が上がらないこんな時は、飯を食ってシャワーを浴びたらすぐにベッドに横たわる。

観もしないテレビをつけて、無駄にスマホをいじる。

クラスの連中とのグループチャットには、たくさんのくだらないメッセージのやり取りがあった。どれもこれもどうでもいい内容ばっか。

それを既読スルーして、下のほうにあった『叶ちゃん』の名前を見つけて指が止まる。

『誰にも負けない、ホンモノだから』

なんであのとき、あんなにドキドキしたのか自分でも謎。

今頃なにしてるんだろう……なんて、そんなこと今までの彼女には思ったことないのに。

叶ちゃんとはほとんど連絡を取らないから、生活スタイルとか全然わかんねー。

今までは聞かなくても、今なにしてるかを知らせる日記みたいなメッセージが日に何通も届いてた。

面倒だなと思いながら読み流し、気が向いたら返事をする。それも二日に一回すればいいほう。

だけど叶ちゃんからはなんの連絡もなく、今までの彼女とは明らかにタイプがちがう。

ま、いっか。

いちいち何してるか詮索すんのもなー。

面倒だし。

叶ちゃんとは一年の時からずっと同じクラスで、いつも物静かでクールな子だなと思う程度だった。

抜群に目立つ日本人離れした容姿に長い手足。小顔で目がパチッとしていて、まるでフランス人形のような彼女。大人びた叶ちゃんには、パッツンの前髪がよく似合っていた。

いつもなに事にも興味がなさそうだったから、好きだと言われた時はすっげービックリした。

クールな見た目からは想像がつかないくらい真っ赤で、明らかに動揺していたから、ウソじゃないのはすぐにわかった。

知らなかった、こんなにかわいい顔をするなんて。まさか、こんなに赤くなるなんて。

よくわからない感情が胸の中に沸き上がり、気づくと俺は『今日から俺の彼女ってことで』そう言っていた。

一生懸命な叶ちゃんがかわいかったのは事実で、胸の奥にグッとくるものがあったというか。この子の傷つく顔を見たくないと思ったんだ。