もっと俺を、好きになれ。


『元彼はどんな時でもあたしのことを一番に考えてくれたよ?』

『メールがこなきゃ、嫌われたのかなって思う。だから、一分以内に返信して!』

『他の女と話さないでよ』

『浮気してないって言うなら、スマホ見せて』

『冷たい人だよ、コジローくんは』

『最初から全部を諦めてるよね』

なんで人格否定までされてるんだろ、俺。

ここまで言われて、付き合ってる意味なんてあんのかよ。

疑われるのも、気持ちを探るような駆け引きもうんざりだ。

束縛されるのもするのも嫌だし、基本的には自由な付き合いが理想的。

でも俺の中で浮気はタブー。他の男の影を匂わせられると、スーッと気持ちが冷めてどうでもよくなる。

一気に氷点下にまで落ちてしまった感情は、もう二度と上がることはない。

だけど振ることはしない。泣かれたら面倒だから、向こうから振らせるように仕向ける。

たまに、ふと、こんな付き合い方がしたかったわけじゃないのにって思うけど、やめられない。

過去の女の残像が蘇って苦しくなる気持ちに蓋をするように、新たな女と付き合う。

『誰にでも優しい人って、結局は誰にも優しくないんだよ』

もう二年以上も経つのに、なにかあるたびにあいつの顔が頭にちらつく。

過去に置いてきた、たった一度の本気の恋愛。

今はもう、好きだったのかさえわからない。