期待なんてしなければ、何事もなく毎日笑って過ごせるんだ。

泣かれたら面倒だし、楽なほうに流されて生きる。それが俺。

『カッコいいから好きになったのに、それだけだった』

『顔だけの男』

俺はなんでもないフリをして笑ってた。

『もういいよ。いらない』

『他に好きな人ができたの』

『ごめん、もう無理』

『一緒にいてもツラいだけだよ。だから、もう別れて?』

好きだって告ってきといて、最終的にはそんな理由で振られてしまう。

『もう』ってなんだよ。そこに至るまでの思いを、俺は知らない。聞いてない。

結局どいつもこいつも俺のことを信じてなかったんだ。噂なんか信じてバカじゃねーの。

まぁ……弁解しない俺にも問題があるってことだよな。

それは自分でもよくわかってる。

それだけの熱量が今の俺にはないだけだってこと。噂を否定して自分のことを信じてもらうにはエネルギーがいる。

そんなの正直、めんどい……。

だって、どうせ信じないし。

信じてほしいとも思わない。

振られたら振られたで、まぁべつにいっかって、その程度。

三日も経つとケロッと忘れて、すぐにまたべつの女と付き合う最低な俺。

だけどどいつもこいつも、俺のことを本気で好きだというわけじゃなさそうだ。

それぐらいがちょうどいい。本気になるなんてバカげてる。結局はみんな俺から去っていくんだから。

軽い気持ちで始まる女の子との付き合いだったけど、どの女とも楽しいのは最初だけだった。

かわいいとは思うけど、好きだと思えた女は一人もいない。

付き合う前はかわいいのに……付き合ったら変わってしまう。

俺が求めてるのは、そんなんじゃない。

『昨日、電話に出なかったね。浮気でもしてたんじゃないの?』

『どうせ他の女と遊んでたんでしょ!』

『あたしのことが本気で好きなら、今すぐ会いにきて』

『会ってくれなきゃ嫌いになる。他の男のところに行くから』

付き合っているからといってそう毎日考えられるわけじゃない。誰よりも優先してほしいなんて無理だし。