「あたし、叶ちゃんには絶対に幸せになってほしいもんっ!」
「あはは、ありがとう」
咲彩はあたしのことをすごく心配してくれている。
でもごめんね……。
たとえ女の子をとっかえひっかえしてるような人でも、あたしは斎藤くんのことが好き……。
高校一年生の冬からずっと片想いしていて、一年四カ月、この気持ちはどんどん大きくなるばかり。
傷つくこともたくさんあったし、実際は何度も諦めようとした。でも、無理だった。同じクラスで毎日姿を見かけるたびに、斎藤くんの姿を無意識に目で追って、ドキドキして、ああ、やっぱり好きだなって。
勇気がなくて伝えることもできないし、ただこっそり見ているだけの毎日。
ホントはもっと近づきたい。
その手に触れてみたいとさえ思う。
ここまできたら、重症だよね……。
でも、どうしようもないくらい、好きだよ。
教室に着くと斎藤くんはいつも通りたくさんの友達に囲まれていた。
クラスの輪の中心人物である彼は、男女問わずみんなから人気があって好かれている。
あたしは廊下側の一番前の席に着いて、教室の後ろでたむろしている斎藤くんに意識を向けた。
「コジロー、おまえ彼女と別れたんだって?」
「あー、まぁ……ってか、もう噂出回ってんのかよ!」
「今朝隣のクラスの女子が噂してた」
「恐いねー、女子の情報網は」
「おまえさぁ、一週間はないだろ。その子のこと、本気じゃなかったのかよ?」
「さぁ、どうだろ。わっかんねー!」
「わっかんねーって……最低だな、おまえ。色気たっぷりの美人だったのに、もったいねー!」



