花岡さんはスタイルがよくておしゃれでかわいいし、仕草とか行動が女の子らしくて、男子からもすごく人気がある。

そんな彼女が斎藤くん狙いだなんて、あたしに勝ち目なんてない……。

そう思ってしまうほどあたしは自分に自信がない。容姿もそうだけど、特に中身のほうが。

未だに斎藤くんとの付き合い方もよくわからないし、これでいいのかなぁって思っていたりもする。

花岡さんだったらきっと斎藤くんともうまく付き合って、楽しませることができるんだろうな。

どうしたらもっと近づけるんだろう、斎藤くんに。

あたしなんかよりも、他の人のほうが斎藤くんに近いのは事実で、ふと寂しくなってみたり。

たまたま三年間同じクラスというだけで、友達だったわけでもないし、あたしたちはまだお互いのことを知らなさすぎる。

傍から見ればただのクラスメイトのあたしたち。

教室にいてみんなに囲まれている斎藤くんを見ていると、付き合っていることが幻のように思えてくる。

それほどあたしたちのいる世界はちがいすぎる。

「じゃあ今日の放課後はみんなでカラオケってことで!」

「イェーイ」

盛り上がる斎藤くんたちのグループの会話を盗み聞きながら、あたしは机の中から次の授業の教科書やらノートを出して準備を始める。