もっと俺を、好きになれ。


「簡単に……諦められないよ」

「斎藤くん、最近また彼女と別れたじゃん? 今回は一週間って短くない?」

「え、そうなの?」

彼女がいることは知ってたけど、別れたってことは初耳で。こんなの意地が悪いけど、それを聞いてうれしく思ってしまう。

「女の子とっかえひっかえしてるような斎藤くんだよ? 警戒レベル五の危険人物だよ? 叶ちゃん、ツラくないの?」

「…………」

そりゃツラいけど、好きな気持ちをどうにかできるわけでもないし……。諦めることができるくらいなら、もうとっくにそうしてる。

斎藤くんは……モテる。そう、すごくモテる。だからいつも彼女が絶えない。

女の子をとっかえひっかえして、きっと次も……新しい彼女がすぐにできるはず。

そのたびにあたしは傷ついてきた。

来る者は選ぶけど、去る者は追わず。斎藤くんは自分から告白したことがないらしい。彼女と別れたという噂が出回るたびに、別の女の子が斎藤くんに告白して次の彼女ができる。

あたしは彼女ができるたびに落ち込んで、別れたって聞くたびに喜んでる。一人あたりのスパンは長くて一カ月、短くて三日。

チャラくて軽くて、遊び人だと噂されてる彼だけど……。

でも実はとても優しい人なんだってことを、あたしは知ってる。

「まぁ、叶ちゃんがいいなら応援するって決めてるけど……それでも斎藤くんに叶ちゃんはもったいないよ」

「そんなことないよ」

「そんなことあるからっ! 叶ちゃんには爽やかで王子様みたいな男子が絶対に似合う!」

「もう、またそれ?」

あまりにも力説する咲彩に思わず笑ってしまった。