え?
「わ」
──バサバサ
ビックリして手にしていた雑誌を落とした。
あまりの距離の近さに心臓がバクバクして、背中が熱い。
恐る恐る振り返ると、そこには制服のズボンのポケットに両手を突っ込んで笑う斎藤くんがいた。
「はは、驚かせてごめん。外から叶ちゃんが見えたからさ。真剣な顔でなに読んでるのかと思えば、ファッション誌かよ」
斎藤くんのまぶしい笑顔に胸がざわつく。
──ドキドキ
「お、お疲れさま」
「うん、待たせてごめん」
「ぜ、全然だよ」
ぎこちなく微笑んで返した。
待たせてごめんだなんて、いかにもデートっぽくてドキドキする。
そんなセリフひとつにも幸せな気持ちで満たされて、ああ、あたしは斎藤くんのことがとことん好きなんだな……。
なんて、つい頬がゆるんでしまう。
斎藤くんはあたしが落とした雑誌を拾いながら、あたしが見ていたページに視線を落とした。
「大胆な服装が好きなんだ?」
大胆、そう言った斎藤くんが怪訝な顔をする。
あたしはゆるんだ口元に力を入れて雑誌に目をやる。
そこにはデニムのショートパンツに、デコルテラインがきれいに見える裾の短いTシャツ姿の女の子が写っていた。
チラリとおへそが見えていて、大胆かと言われればそうなのかもしれない。だけどいやらしいレベルではないというか、あたしはおしゃれでかわいいと思うんだけど。
「斎藤くんは好きじゃない? こういう恰好」
「うーん、嫌、かな」



