「それでも三年間がんばったんだから、それだけでも十分すごいと思う。あたし、運動苦手だから、尊敬するよ」
そう言って伊藤くんに笑ってみせると、伊藤くんは照れくさそうに頬をかいた。
「ありがとう。そんなふうに言ってもらえると思ってなかった。青野さんってクールというか、俺の努力が足りないってきっぱり言い切るイメージだと思ってた」
「えー、あはは、そこまで鬼じゃないよ」
「うん、だからちょっと今ビックリしてる」
そう言った伊藤くんの頬がほんのり赤く染まっている。よく見ると伊藤くんって、すごく澄んだ目をしてるんだな。
「優しいんだね、青野さんって」
「そんなこと初めて言われたよ」
「いやいや、イメージ変わった。っていうか、勝手なイメージを作っててごめん」
今度は申し訳なさそうに眉を下げる伊藤くん。コロコロと表情が変わって忙しい人だ。でも悪い人じゃない。それだけはわかる。
だからかな、こんなふうになんでも話せてしまうのは。
何気なく話しながら教室に向かっていると、後ろからバタバタと数人の男子たちが走ってきた。
「あれ? 青野さん?」
──ドキン
その声に心臓が跳ねて、ドキドキと忙しく動き始める。
「おいコジロー、先行くぞ」
「ああ!」



